表千家流 渡邉茶道教室 / 茶道を知る

茶道を知る

Understanding chado

習うつもりはないけれど、茶会に招かれた。日本文化として知っておきたい。海外の方に説明を求められた。そうした方に向けて、茶の湯の成り立ちと、表千家という流儀について、要点をまとめました。

利休は何をした人かRikyu

千利休は、茶の湯を大成した人物です。堺の商家に生まれ、織田信長、次いで豊臣秀吉に茶頭として仕えました。

利休が変えたのは、茶の味ではなく、茶を飲む場の意味です。それまで唐物の名物を並べて権勢を示す場であった茶会を、亭主と客が向き合うための場へと組み替えました。茶室を狭くし、入口を低くし、道具から飾りを削ぎ落としました。にじり口をくぐるには、武士も刀を置き、頭を下げなければなりません。身分を問わず同じ高さで座るための仕掛けです。

この、削ぎ落とすことで本質を立ち上げる考え方がわび茶です。足りないことを嘆くのではなく、足りないままに満ちているものを見る。日本の美意識の中核をなす考え方として、今日まで受け継がれています。

表千家・裏千家・武者小路千家Three Senke

利休の茶は、孫にあたる三代・元伯宗旦に受け継がれました。宗旦の子らがそれぞれ家を興し、今日の三千家となります。

表千家
四代・江岑宗左が千家の家督と茶室不審菴を継承。利休以来の作法を最も簡素な形で守ります
裏千家
宗旦の四男・仙叟宗室が今日庵を継承。明治以降、学校教育や海外普及に力を注ぎ、現在最も人口が多い流儀です
武者小路千家
宗旦の次男・一翁宗守が官休庵を興しました

どれが正統かという議論に意味はありません。いずれも利休に発し、それぞれの道を歩んできた流儀です。

表千家の点前は、動きが少なく簡素です。茶筅を振る回数も控えめで、泡を立てすぎません。茶碗の表面に泡の立たない部分が三日月のように残る点て方をします。華やかさを競わず、亭主と客の心の交わりに重きを置く。その姿勢が所作の形にそのまま表れています。

季節と茶Seasons

炉と風炉
11月から4月は畳を切った炉に、5月から10月は畳の上に置く風炉に釜を掛けます。冬は客に火を近づけ、夏は遠ざける。同じ点前でも、道具の位置と手順が変わります
口切(くちきり)
11月。春に摘んで茶壺に寝かせた新茶の封を切ります。茶の湯の正月と呼ばれ、一年で最も改まった茶事です
初釜(はつがま)
1月。その年の最初の茶会。社中が一堂に会します
夜咄(よばなし)
冬の夜。電灯を消し、燭台の灯りだけで行う茶事。炎の揺れで道具の見え方が変わります
朝茶事
盛夏。夜明けとともに始め、涼しいうちに終えます

茶席の豆知識Notes

一期一会とは
井伊直弼が『茶湯一会集』に記した言葉として知られます。同じ顔ぶれで同じ茶会を開いても、その一会は二度と繰り返されない。だから亭主も客も、その一度に心を尽くすという意味です。
なぜ茶碗を回すのか
茶碗の正面を避けて口をつけるためです。亭主は最も美しい面を客に向けて出します。客はその面に口をつけるのを遠慮して、手前に回してから飲みます。飲み終えたら元に戻します。
扇子は何のために置くのか
あおぐためではありません。膝の前に置くことで、相手との間に境界をつくり、敬意を表します。席入りの挨拶、道具の拝見のときに用います。
「お先に」とは
菓子や茶をいただく前に、次の客へ声をかける言葉です。自分が先にいただくことへの断りです。茶席で最初に覚える言葉であり、茶道の要点がここに集約されています。
掛物はなぜ最初に見るのか
床の掛物は、その日の茶会の主題を示すものだからです。亭主が何を考えてこの会を設けたかが、そこに書かれています。席入りしたらまず床へ進み、掛物と花を拝見します。
七事式とは
七代・如心斎が定めた稽古の方法です。花月、且座、廻り炭、廻り花、茶カブキ、一二三、数茶。いずれも複数人で行い、その場の役に応じて立ち回ります。一人で点前を繰り返すだけでは身につかない、座を読む力を養うための仕組みです。

茶会に招かれた際の作法については、お茶会のご案内のページにまとめています。表千家についてさらに詳しくは、表千家 不審菴および表千家同門会の公式サイトをご覧ください。