表千家流 渡邉茶道教室 / 茶会の心得
Before you attend
当教室では、稽古とは別に、外部で催される茶会へ社中をお誘いして参加しています。稽古場と茶会では、求められるものが違います。このページは、大寄せ(おおよせ)の茶会にお客として伺う際の心得をまとめたものです。菓子や茶のいただき方ではなく、席に入る前の身支度と、場での振る舞いについて書いています。
なお、茶の湯の本来の形は茶事(ちゃじ)です。大寄せは、多くの方に茶を差し上げるために近代以降に広まった略式の会にあたります。両者の違いは、末尾に記しています。
茶席は頭を下げる所作が多く、道具に触れる場面もあります。髪は、次の三点を満たす形に整えてください。長さ別のまとめ方は、その下にロング・肩につく長さ・ボブ・ショート・男性の順に記しています。
整えるものも、香りのないものをお選びください。スプレーやヘアオイルの香りは、香を焚き、菓子と茶の香りを味わう席では邪魔になります。
表千家の席は、華美を避け、控えめであることを良しとします。目立つ装いは、亭主の設えより自分を前に出すことになります。迷ったときは、地味なほうを選んでください。
柄や箔が大きいもの、袖や裾がひらひらと広がるものは、道具に触れる危険があります。白足袋は必ず替えを持参し、席入りの前に履き替えてください。外を歩いてきた足袋のまま畳に上がることはしません。
着物の上に羽織るコート類は、塵除けです。建物に入ったら脱ぎます。席に着る物ではありません。道中着、道行、雨コート、いずれも同じ扱いです。
脱いだあとは、たたんで風呂敷に包むか、持参した袋に入れます。腕にかけたまま席に入ることのないよう、受付の前に済ませてください。
洋服でも差し支えありません。ただし、茶席に向く服と向かない服があります。
大寄せの茶会では、席次に意味があります。初めての方が座ってはいけない場所が二つあります。
ここまで大寄せの茶会について書いてきましたが、順序として申し上げておきたいことがあります。茶の湯の本来の形は茶事です。大寄せは、多くの方に茶を差し上げるために近代以降に広まった略式の会であり、茶事の一部を取り出したものにあたります。
大寄せの席で味わうのは、いわば抜粋です。そこが面白くないという意味ではありません。ただ、茶の湯が四百年かけて練り上げてきたものの全体は、茶事のほうにあります。
少人数の客を招き、懐石、炭手前、濃茶、薄茶までを通して行います。所要はおよそ四時間。亭主はその一日のために、数週間前から支度をします。誰を招くかを決め、その客のために掛物を選び、道具を組み、花を探し、菓子を誂え、炭を整え、露地を掃く。
客は露地を歩き、蹲踞で手と口を清め、躙口から身をかがめて入ります。外の世界をそこに置いてくるための道筋です。席では炭のはぜる音と、釜の湯の音だけが続きます。食事を共にし、濃茶では一つの碗を回していただく。四時間をかけて、亭主と客が同じ時間の中に入ります。
一期一会という言葉が実際に成り立つのは、この形においてです。同じ客、同じ道具、同じ季節、同じ天気は二度と揃いません。亭主はそれを承知したうえで、その一日のためだけに支度をします。
茶事は敷居が高いと言われます。ただ、実際に必要なのは特別な才能ではなく、ひととおりの作法を身につけていることと、四時間を空けられることです。作法は稽古を重ねれば身につきます。むしろ難しいのは、四時間を差し出すことのほうかもしれません。
そして、亭主はそれ以上のものを差し出しています。数週間の支度と、その日一日を、招いた数名のためだけに使う。招かれるとは、そういう時間を受け取ることです。
当教室では、特別稽古として稽古茶事を設けています。社中だけで、実際の茶事と同じ流れを通して行うものです。ここで客としての一日を経験していただくのが、最も無理のない道です。
外部の茶事にお誘いを受けた場合は、お受けする前に主宰にご相談ください。その会の性格と、ご自身の稽古の進み具合を見て、一緒に判断します。伺うべき会であれば、当日までに必要なことをお伝えします。
菓子のいただき方、茶の飲み方、拝見の仕方といった席中の作法は、文字で読むより、一度稽古場で体を動かしていただくほうが確かに身につきます。社中が参加する茶会の予定は、お茶会のご案内に掲載しています。