表千家流 渡邉茶道教室 / 茶会の心得

茶会の心得茶道・お茶会の髪型と服装、持ち物、座る場所

Before you attend

当教室では、稽古とは別に、外部で催される茶会へ社中をお誘いして参加しています。稽古場と茶会では、求められるものが違います。このページは、大寄せ(おおよせ)の茶会にお客として伺う際の心得をまとめたものです。菓子や茶のいただき方ではなく、席に入る前の身支度と、場での振る舞いについて書いています。

なお、茶の湯の本来の形は茶事(ちゃじ)です。大寄せは、多くの方に茶を差し上げるために近代以降に広まった略式の会にあたります。両者の違いは、末尾に記しています。

茶道・お茶会にふさわしい髪型Hair

茶席は頭を下げる所作が多く、道具に触れる場面もあります。髪は、次の三点を満たす形に整えてください。長さ別のまとめ方は、その下にロング・肩につく長さ・ボブ・ショート・男性の順に記しています。

三つの鉄則

1 落ちてこない
茶席では深く頭を下げ、下を向いたまま手を動かす場面が繰り返しあります。そのたびに髪が顔にかかり、手でかき上げる。これが不作法にあたります。一度も触らずに済む形に固めてください
2 道具に触れない
濃茶は一つの茶碗を客が順に回していただきます。髪が触れる可能性のある形は、衛生の面からも避けます。うつむいたときに毛先が前に垂れるかどうかを、鏡の前で確かめてください
3 飾りは付けない
万一落ちれば、道具を傷つけます。金具のついた大きな飾り、コーム、光るものは避けてください。黒のアメピン、Uピン、飾りのない黒ゴム。これだけで十分です

髪の長さ別の目安

長い髪
うなじの低い位置でまとめます。夜会巻き、低めのシニヨン、あるいはひとつにまとめて折り返し留める形。高い位置のお団子は避けてください。襟足が乱れやすく、後ろから見たときに落ち着きません
肩につく長さ
中途半端に垂れるのが最も扱いにくい長さです。短くても全体をまとめ、届かない毛はピンで留めます。ハーフアップは下ろした部分が落ちるため向きません
ボブ
まとめられない長さです。耳にかけ、耳の後ろで黒のアメピンを交差させて留めます。顔の横に下りてくる毛も残さず留めてください。お辞儀をして、毛先が頬にかからないかを鏡の前で確かめます
ショート
耳にかけ、後れ毛と前髪をピンで固定します。前髪が目にかかる長さであれば、分けて留めてください。お辞儀のたびに落ちるのが問題になります
男性
長い方は低い位置で束ねます。整髪料は無香性のものを少量。香りの強いワックスやスプレーは、茶席では使えません

整えるものも、香りのないものをお選びください。スプレーやヘアオイルの香りは、香を焚き、菓子と茶の香りを味わう席では邪魔になります。

体験稽古を申し込む(初回無料)
髪を整えても、席に入ってからの礼や、菓子と茶のいただき方に不安が残る方は、一度稽古場で経験していただくのがいちばんの近道です。公式サイトからのお申し込みは、初回の体験稽古が無料です。

装いKimono

表千家の席は、華美を避け、控えめであることを良しとします。目立つ装いは、亭主の設えより自分を前に出すことになります。迷ったときは、地味なほうを選んでください。

着物の種類

色無地
茶席で最も応用が利きます。一つ紋を入れておけば、格の高い会から気軽な会まで通ります。初めて誂えるなら、まずこれをお勧めします
訪問着・付下
初釜、記念の茶会など、格の高い席に。柄が大きく華やかなものは、大寄せの茶会では浮くことがあります
江戸小紋
鮫・行儀・角通しといった細かい柄のものは、一つ紋を入れれば色無地に準じて扱えます
小紋
気軽な会や稽古に。改まった大寄せの茶会では避けます
紬
質の高いものでも、茶席では基本的に着ません。普段着の格にあたります
帯
格の高い席は袋帯、略式の席は名古屋帯。結び目が大きく張り出すものは、狭い席で隣の方に当たります

柄や箔が大きいもの、袖や裾がひらひらと広がるものは、道具に触れる危険があります。白足袋は必ず替えを持参し、席入りの前に履き替えてください。外を歩いてきた足袋のまま畳に上がることはしません。

道中着・コート

着物の上に羽織るコート類は、塵除けです。建物に入ったら脱ぎます。席に着る物ではありません。道中着、道行、雨コート、いずれも同じ扱いです。

脱いだあとは、たたんで風呂敷に包むか、持参した袋に入れます。腕にかけたまま席に入ることのないよう、受付の前に済ませてください。

履物

草履
畳表のものが席に合います。かかとが高いものは格が上がりますが、茶会は歩く距離があり、露地に下りることもあります。低めから中程度が実用的です
雪駄
男性はこちらを。同じく歩きやすさを優先してください
持参するもの
履物を入れる袋。大寄せでは下足が多く集まり、取り違えが起こります。自分で袋に入れて持つか、目印を付けてください
足袋カバー
外を歩く際に履き、席入りの前に脱ぎます。替えの白足袋を持参する場合は不要です

洋服で参加する場合Western dress

洋服でも差し支えありません。ただし、茶席に向く服と向かない服があります。

下半身
膝が隠れる丈のスカート、またはゆとりのあるパンツ。タイトスカートとミニ丈は正座ができません。立ち座りのたびに裾を気にすることになります
足元
白い靴下を必ず持参し、会場で履き替えてください。素足、柄物、色物のまま畳に上がることはしません。ストッキングの上から重ねて構いません
上半身
襟元が大きく開いた服は、頭を下げたときに落ち着きません。袖口が広い服は、道具に触れます
金具
大きなボタン、ベルトのバックル、ファスナーの引き手。畳や道具に当たって傷をつけます。前かがみになったときに何が当たるかを確認してください
アクセサリー
指輪、腕時計、ブレスレット、長いネックレスはすべて外します。茶碗は一度触れただけで傷がつきます
爪
長い爪と装飾のあるネイルは、道具を扱う際に当たります。短く整えてお越しください
香り
香水、香りの強い整髪料、ハンドクリーム、柔軟剤。ひとつ強い香りが入ると、その席が成り立たなくなります
口紅
茶碗に付きます。席入りの前に懐紙で軽く押さえてください。落とす必要はありません

持ち物What to bring

必ず要るもの
懐紙、菓子切、扇子(茶扇)、替えの白足袋または白い靴下、茶券
あるとよいもの
古帛紗、数寄屋袋または懐紙入れ、ハンカチ、履物を入れる袋、風呂敷
荷物
席には持ち込みません。受付や待合で預けるか、指定の場所に置きます。大きな鞄でお越しの場合は、席に持ち込む小物を別に分けておくと慌てません
正座椅子
会によって持ち込みの可否が異なります。事前に主宰へお尋ねください。使う場合は末席寄りに座ると、後ろの方の視界をふさぎません

受付と茶券On arrival

茶券
多くの茶会は事前に茶券を求めます。当日券のない会もありますので、参加をお決めになったら早めにお申し出ください。当教室でまとめて手配します
席の組み合わせ
濃茶席、薄茶席、点心席と複数の席がある会では、券によって回る順が決まっていることがあります。受付で確認してください
受付で
券を渡し、芳名録に記帳します。流派や社中名を書く欄がある場合は、「表千家 渡邉社中」とお書きください。判断に迷う欄があれば、記入前にお尋ねください
会費
釣り銭のないようご用意ください。新札である必要はありません
到着時刻
席入りの時刻が決まっています。遅刻は席全体を止めます。履き替えと身支度の時間を見て、余裕をもってお越しください
待合で
白湯や香煎が出されることがあります。私語は控えめに。ここから席は始まっています

座る場所Where to sit

大寄せの茶会では、席次に意味があります。初めての方が座ってはいけない場所が二つあります。

正客(しょうきゃく)
亭主と問答を交わし、席全体を代表する役です。道具の由来を尋ね、掛物や花について言葉を交わし、席の流れをつくります。経験のない方が座ると、席そのものが進みません。空いていても座らないでください
詰(つめ/お詰)
末席です。楽な場所に見えますが、実際は最も仕事があります。菓子鉢や茶碗を次へ送り返し、道具を運び、席の締めくくりを担います。こちらも経験者の役です
初めての方は
正客と詰の間、中ほどにお座りください。前後の方の動きを見て合わせれば、それで成り立ちます
社中で参加する場合
主宰が座る場所を指示します。案内に従ってください。空いているからと上座へ進むことはしません

席の中でDuring the gathering

撮影
本席での撮影は、原則できません。道具には所蔵者があり、掛物や茶碗の写真には許可が要ります。撮影可の掲示がある場合でも、席が済んでからにしてください。SNSへの掲載は、亭主の許可が別に必要になることがあります
携帯電話
電源を切ります。マナーモードでは足りません。振動音も席では響きます
私語
亭主と正客の問答が席の中心です。その間の私語は控えてください。分からないことは、席を出てから主宰にお尋ねください
足を崩す
辛くなったら崩して構いません。ただし、亭主が点前をしている最中や、問答の途中は避け、区切りのよいところで直してください
会記
その日の道具の取り合わせを記したものです。配られた場合、持ち帰ってよいかを確認してください
分からないとき
前の方の動きを見て、同じようになさってください。それで整います。黙って困っているより、あとで尋ねるほうが良いことです

茶事という本来の形Chaji

ここまで大寄せの茶会について書いてきましたが、順序として申し上げておきたいことがあります。茶の湯の本来の形は茶事です。大寄せは、多くの方に茶を差し上げるために近代以降に広まった略式の会であり、茶事の一部を取り出したものにあたります。

大寄せの席で味わうのは、いわば抜粋です。そこが面白くないという意味ではありません。ただ、茶の湯が四百年かけて練り上げてきたものの全体は、茶事のほうにあります。

茶事とは何か

少人数の客を招き、懐石、炭手前、濃茶、薄茶までを通して行います。所要はおよそ四時間。亭主はその一日のために、数週間前から支度をします。誰を招くかを決め、その客のために掛物を選び、道具を組み、花を探し、菓子を誂え、炭を整え、露地を掃く。

客は露地を歩き、蹲踞で手と口を清め、躙口から身をかがめて入ります。外の世界をそこに置いてくるための道筋です。席では炭のはぜる音と、釜の湯の音だけが続きます。食事を共にし、濃茶では一つの碗を回していただく。四時間をかけて、亭主と客が同じ時間の中に入ります。

一期一会という言葉が実際に成り立つのは、この形においてです。同じ客、同じ道具、同じ季節、同じ天気は二度と揃いません。亭主はそれを承知したうえで、その一日のためだけに支度をします。

難しいのは作法ではありません

茶事は敷居が高いと言われます。ただ、実際に必要なのは特別な才能ではなく、ひととおりの作法を身につけていることと、四時間を空けられることです。作法は稽古を重ねれば身につきます。むしろ難しいのは、四時間を差し出すことのほうかもしれません。

そして、亭主はそれ以上のものを差し出しています。数週間の支度と、その日一日を、招いた数名のためだけに使う。招かれるとは、そういう時間を受け取ることです。

当教室での進み方

当教室では、特別稽古として稽古茶事を設けています。社中だけで、実際の茶事と同じ流れを通して行うものです。ここで客としての一日を経験していただくのが、最も無理のない道です。

外部の茶事にお誘いを受けた場合は、お受けする前に主宰にご相談ください。その会の性格と、ご自身の稽古の進み具合を見て、一緒に判断します。伺うべき会であれば、当日までに必要なことをお伝えします。

菓子のいただき方、茶の飲み方、拝見の仕方といった席中の作法は、文字で読むより、一度稽古場で体を動かしていただくほうが確かに身につきます。社中が参加する茶会の予定は、お茶会のご案内に掲載しています。

茶会に伺う前に、一度稽古場へ

このページに書いたことは、身支度と心構えです。席に入ってからの礼や、菓子と茶のいただき方は、稽古場で一度経験していただくのがいちばんの近道です。
表千家流 渡邉茶道教室では、銀座・日本橋をはじめ東京都心の稽古場で体験稽古を受け付けています。公式サイトからのお申し込みは、初回の体験が無料です。正座は無理をなさらなくて構いません。正座椅子もご用意しています。